「あの、何か?」

「……いえ。ありがとうございました」

 俺はその場をふらふらとしながら去ると、一旦家へ戻った。車の運転も危なかった。ショックと眠気で全く頭が回らない。ベッドへ倒れてそのまま意識がなくなった。

 翌日。やはり電話してもずっと繋がらない。これは間違いなく避けられていると痛感して、ちょうど移動図書館の日だったことを思い出し、担当の女性に彼女がどこにいるか聞いてみようと思いついた。帰り際に声をかけた。

「あの……」

「あれ?原田先生いたんですね。こんにちは。っていうか、なに、どうしたんですか、ボロボロじゃないですか」

 朝から、同僚や看護師、患者達にも言われている。白衣のボタンがずれていたり、髪がボサボサだったり、目が真っ赤だと言われた。

「それはどうでもいいです……あ、ちょっと聞きたいことがあって。美鈴はどうして休んでいるんです?」