鈴華は持っていたハンカチを男の子の手のひらにまいた。



「あの、ハンカチ、汚れてしまいます!」



「大丈夫。学校に着いたら、きちんと手当てしてもらってね」



私が自転車にまたがると男の子は大きな声で自己紹介をしてくれた。



「あの、富井 航基(とみい こうき)と言います。 今度、会ったらハンカチ、返します!」



富井くんの笑った顔につられて鈴華も微笑んだ。


「また、会えたらね!それじゃ」


富井くんは私が通り過ぎるまで頭を下げている。


そして、私は少し急いで学校へと向かった。