「そういえば、富井くんは今回のカップルグランプリには出ないの?」



「ああ、俺は出ないよ」



富井くんの言葉にクラスの皆からは「え〜っ」、「なんで!?」と声が飛び交っている。


ひとりの男子が話をふった。



「好きな女子はいないのかよ?」



「……いるよ」



クラスの皆は富井くんの言葉に質問攻めが始まったが私はさっきの屋台のことで話が盛り上がっている隣からの話は聞いていなかった。



授業が始まる予鈴がなると、クラスの皆は残念そうに自分の席へと戻って行く。



私が少し横を見ると目があって富井くんはニコッと笑った。