桜が散り、新緑が風でゆらゆらと揺れる5月。



中3の朝倉 鈴華(あさくらすずか)は目覚まし時計を2度見して飛び起きた。



「あぁ、寝坊!!」



目覚まし時計の時刻は7時30分。
急いで寝巻きから制服へと着替えて姿鏡の前で髪を二つに分けて三つ編みをしていく。


「うん、三つ編み、上手くできた!」



カバンを持って部屋を出てそのままリビングへ行きコップに入ったお茶を飲み干す。



すると、洗濯物を干しながらお母さんが声をかけてきた。



「寝坊するなんて珍しいわね。気おつけて行ってらっしゃい」



「行ってきます!!」



普段はコンタクトをしているが、今日は眼鏡姿で学校へ。転車を漕いでいると、通学路の道で見かけない制服を着た男の子がうずくまっている。



「あの子、どうしたんだろう……大丈夫かな??」



心配になった鈴華は自転車を降りて男の子に声をかけた。



「ねぇ、大丈夫??」



「えっと、大丈夫です……」



すると、男の子は手のひらに怪我していた。