あの日あなたに出逢ってから私の頭の中にはあなたしかいませんでした。

「今日もいるかな…。」

私は次の日も公園に行きました。そこには昨日と同じようにベンチに座るあなたの姿がありました。私は嬉しさのあまりに何も考えずにあなたの横に座りました。

「美香ちゃん…。今日も会ったね。」

あなたはそう言って微笑んでくれましたね。

「本当は…祐司さんに会いに来たんです。」

私はなぜか自然にそう言えました。人見知りの私がまだ会ったばかりのあなたに打ち解けたのは自分でも意外でした。

「僕に?」

あなたは不思議そうにしてました。

「はい。祐司さんに会いに来ました。」

私がそう言うとあなたは照れていましたね。

「あの…明日も会いに来ていいですか?」

「もちろんだよ。僕は毎日ここで桜を眺めてるだけだからね。」

「じゃぁ…毎日会いに来ていいですか?」

私は思い切ってあなたに聞いてみました。

「いいよ。そのかわり…僕の願いを聞いてくれないかな?」

「なんでも言ってください。」

あなたはしばらく黙って思い切ったように顔を上げました。

「僕と会うときは目立つ格好で来てくれないかな?」

「えっ…?どういう意味ですか?」

「とにかく目立つ格好で来てほしいんだ。たとえば厚化粧をしたりコスプレをしたり。」

私はあなたの言っていることがおかしくて笑ってしまいました。

「そんなに笑わなくても。やっぱり無理かな?」

「別にやれないことはないですよ。でもどうしてですか?」

私は笑いをこらえながら聞いてみました。

「理由はないけど…そうしてほしいんだ。」

あなたは冗談ではなく真剣に言っているようでした。そんなあなたを見ていると断ることが悪いような気がしてきました。

「分かりました。いいですよ。」

「本当?ありがとう。」

あなたは子どものようにはしゃいでいましたね。私はこのとき思いました。これからもあなたの笑顔を傍で見守っていこうと。