あなたに出会ったのは桜散る春の日でしたね。私は公園のベンチで座っているあなたを見つけました。あなたは綺麗に咲く桜を見つめながら微笑んでいましたね。でもその目は悲しげに見えました。

「あの・・・・」

あなたは私に気づくと不思議そうな目で私を見つめていました。

「す・・・すみません…。」

私は慌てて目をそらし、逃げ出そうとしました。でもあなたはそんな私を呼び止めましたね。

「よければ…僕と一緒に話さないかい?」

私は嬉しくてたまりませんでした。あなたが話しかけてくるなんて思ってもいなかったから。

「君、何歳?」

「16…です。」

「ちょうど妹も君と同じ歳になるかな…。僕は…23だよ。名前は何て言うの?」

「美香です。中山美香。」

「えっ…。」

あなたは私の名前を聞いた途端黙り込んで何かを考えてるようでした。

「どうしたんですか?」

「いや…なんでもない。」

「あなたの名前も聞いていいですか?」

「僕は…祐司だよ。」

あなたは何故か悲しそうでした。このころの私には不思議でなりませんでした。でも今は分かります。あなたが悲しそうにしてた理由が…。

「毎日ここに来てるんですか?」

私は期待をこめてあなたに聞いてみました。

「…ずっと前からここにいるよ。」

正直言ってあなたの言っている意味が分かりませんでした。多分、ずっと前からここに通っている、と言いたかったんだろうと勝手に自分で解釈していました。