夏祭りの約束

「実はぼく、約束に間に合わなかったんだよ。
その日、電車が何本か遅延してて、神社についたのが夏祭りが終わってからしばらくたった後だったんだ。一応ここにも来たけど音ちゃんがいなかったから帰ったんだろうなって思って、長い時間待たせちゃって申し訳ないなと思いながら帰って、その次の年からは音ちゃんを見つけたら謝ろうと思ってずっと探してた。
けどほんとうに、長い時間退屈な思いしてなかったならよかった。」
優しすぎる、と思った。私はそんな考え方できないからあき君に対して尊敬しかない。
「とりあえず、どっちも約束守れてなかったし、おあいこってことでいいよね。」と言ってきた。
「いいの?あき君の理由は仕方がないことなのに。」
「え、うん。理由はどうであれ僕も守れてなかったんだから同じだよ。」
「ところで、もうスマホは持ってる?持ってたら連絡先交換しとこ。そしたらまた一緒に来れるよ。」
と言った後で、
「あ、持ってなくてももう一緒に来れるよ。」とも言った。
「持ってるけど、どうして持ってなくても一緒に来れるの?」
「音ちゃんと同じ高校だったから!」
どういうことだろう。