例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても




「激しく既視感……」


昨日訪れたばかりの秋元家の門の前で、沙耶は思わず呟く。
デジャブではないことは理解しているのだが、どうしても言いたくなった。


「すいません、無理を言いまして。」



頭を下げる顧問弁護士、廣井は、口ではそう言いつつ、特段悪びれる様子はない。40を過ぎた位の、敏腕らしい弁護士は、良くも悪くも都会使用で、本心がすっぽりと覆われている為か、親近感など皆無だった。

高価そうなジャケット。
タイとお揃いにしてあるカフス。
そして、漂う香水。


――石垣は、アールグレイの匂いがしたな。


ふと、思い出す記憶は、直ぐに昨日と繋がった。


「わぁ!」
「どうしました?」

思わず声を上げてしまい、廣井が何事かと片眉を上げて沙耶を見る。


「あ、いえ、すいません。ちょっと邪念が……」

言いながら、沙耶は手を振り回すことで、浮かんだ記憶を振り払おうとした。