育児の合間に、彩乃やこずえと電話で話すのも良い息抜きになった。

彩乃とは、お互いの子どもの成長具合を報告し合う。

誕生日も5日違いなので、離乳食や母乳の回数に関しても、とても良い相談相手だった。

また、こずえは4月に結婚式を挙げた事を報告してくれた。

送ってくれた写真には、マーメイドラインの大人っぽいドレスを着こなすこずえと、シックなタキシード姿の伊沢がかっこ良く写っていた。

「こずえちゃん、とってもきれい!良かったね、結婚式挙げられて」

恵真が電話でそう言うと、こずえはいつもと変わらない口調で言う。

「まあねー、うるさいんだもん。どうしても式挙げたいって、ゆう…あっ」

急に言葉を止めたこずえに、恵真は、ん?と首をひねる。

「ゆう…って?あ!もしや優太ってこと?!」

大きな声を出してしまい、慌てて寝ている双子を振り返る。

幸い二人ともぐっすり眠ったままだった。

恵真は改めて声のトーンを落として聞く。

「ふふっ、こずえちゃん、ついに伊沢くんのこと、名前で呼び始めたのね」
「ちょっと、そこはスルーしてよー」
「えー?だって気になるんだもん。で、どうだった?初めて名前で呼んであげた時の反応は?」
「んー、恵真が言ってた通りの反応だった」
「あ、ドキュン?」
「そう。まさにそんな感じ」

あはは!と恵真は明るく笑う。

「嬉しかっただろうなあ、伊沢くん」
「て言うか、しつこかった。もう一回!とかせがんできて」
「やだー!もう、なんか聞いてるだけで照れちゃう。ラブラブだね!」

とにもかくにも、幸せそうな二人の様子に、恵真も嬉しくなった。