「あの……連絡先、教えてください」 それは、俺が聞くはずだった。 手には、あいつに預かった紙を握り締めていた。 目の前には、顔を真っ赤にさせ、大きな瞳を潤ませ、声を大袈裟に震わせる彼女。 その姿に、俺は咄嗟に、手にした紙と入れ替えに、自分のスマホをポケットから取り出していた。