恋に落ちた瞬間、打ち上がったんだ


ヒューヒュー……ヒュー


白い軌跡を作りながら、何かが夜空を駆け上っていく。


パンッ! パンッ! …… パアーンッ!!


打ち上げ花火だ。


次々に花が開いていく。


赤、オレンジ、緑、紫、ピンク……


「わあ、きれ……」


打ち上げられた花火が全て開き、それらが目に飛び込んできた途端、私は声も出せなくなった。


立ちつくすことしかできない……


花火が重なってひとつのハート形になっていたのだ。


「新郎が新婦に恋をしたあの日あのとき、新郎のまぶたの裏に打ち上がった花火を再現しました」


会場が歓声と拍手に包まれた。


「スゴいだろ? ナナミを好きになったあの瞬間、本気でこの花火が打ち上がったんだ!」

「ぷぷっ、スゴいね……リクは本当にスゴいよ……」


そっか、全部このためだったんだね。


私は今この瞬間、再びリクに恋をした。


そして花火は私のまぶたの裏にもしっかりと焼きついた。


この恋はこれから先もずっと消えない。



おしまい