「……髪を結い上げ、浴衣を着ている新婦を正面から見つめた瞬間、新郎のまぶたの裏には、会場よりもひと足先に花火が打ち上がったそうです」
ぷぷっ、そんなこと言ってた、言ってた!
夏休みが終わって登校した初日にリクに捕まり、そう言われて告白された。
最初こそ、めちゃくちゃ戸惑った。
けれど、直球で好意を伝えられるうちに、リクの単純とも言い換えられそうなほどの素直さに私も惹かれていった。
そうして2年生の終わりまでに付き合い始めることになった。
「さあ、ここで新郎より新婦へサプライズです!」
えっ、何それ!? 聞いてないっ。
……って、それこそがサプライズなのか。
「新郎はサプライズのために、平日の仕事終わりに打ち合わせを重ねて準備してきました。ご列席の皆様も、左手を向いてご準備をお願いいたします。それではどうぞお楽しみください!」



