ようやくしゃべった……
リクが足を一歩前に動かして、私に近寄った。
瞳孔が開ききっていた。
「その顔怖いよっ。ホントにどうしたの?」
「ナナミだってことは気づいてた。でもナナミがこんなに可愛いんだってことは、今までずっと気づいてなかった!」
「えっ、ち、ちょっ……いきなり何言っちゃってるの?」
リクの真面目な顔に、私は大慌てした。
「ナナミ、俺はたった今……」
「い、いや、一旦落ち着こう!」
「俺は自分でもびっくりするぐらい冷静だよ。ナナミこそ落ち着いて聞いてくれ」
「無理っ! 私はもう行かないと! みんなを待たせてるから。それじゃっ」
そうしてあの場は逃げ去ったんだった。
「えーっ、手ぶら!?」
私は何が起こったのか理解できず、放心状態で戻った。
友達は、たこ焼きやら焼きそばやらカステラ焼きやらを分けてくれた。
けれど、間もなく打ち上げが始まった花火の爆発音に心臓が呼応してしまい、食べるどころではなかった。



