「誰かと間違えてない?私、川島だよ。」

「川島さん。そうだよ。正美と仲良しのお姉さん。」

多少酔っているのかもしれない。ろれつが回らないほどではないが普段の「あの」武田くんの態度からは想像もつかないテンションの高さ。

「あのね、俺が呼んだの。正美と飲んでるんだけどさ、来てよ。ね。」

来るのが当然と言わんばかり。

「えー、昨日も飲んだしさー。」

あまり気乗りしなかったのでそう言った。

「鈴木さんとは飲みに行くくせに俺が来てって言っても来てくれないんだ。」

訳のわからない難癖をつける。なんで私が武田くんに呼びつけられなきゃいけないんだろう?心の言葉は口にせずかわりに言った。

「昨日飲んだばかりだからまた今度にしてよ。」

「いいじゃん!みんなで飲んだ方が楽しいし。じゃ待ってるから。必ず来てよ。」

「えーやだよ。」

「なんで?俺が気に入らないから?」

「そうじゃないけどやだよ。今日は。」

「やだなんてそんなこと言わないでよ。ね。いいじゃん。1人なんでしょ?」

「そうだけど・・・」

はあ・・・大きく息をついた。確かに億劫ではあるがここまで言われるとちょっとなら行ってもいいかなという気もしてきた。

まだ着替えてもいなかったしどうせ買ってきた惣菜を1人で食べるだけのわびしい夕飯な訳だし。