Labyrinth~愛に迷う~

「もう!いいじゃん、私の事なんて。愚痴っちゃうよ。まずいお酒になってもしらないからね!」

 本当は悟の話なんかしたくない。楽しくないからだ。

「飲んで吐き出しちゃえよ。」

 大倉くんが私の手をジョッキに持っていかせた。

「酔わせてナントカなんて考えられないほど強いよ、川島ちゃん。先にお前が潰れちゃうぞ。やめとけ。」

 鈴木さんが大倉くんに言った。

「鈴木さんを差し置いて俺はそんな下心なんかありませんよ。」

 大倉くんが返した。

「キュートな彼女もいるしね。待ってんじゃないの?」

 私が言った。

「いいの。いいの。あいつのことは。」

 大倉くんが答えた。

「きれいだよな。すげえいい女だよ。」

 山本くんが言った。

「彼女?大倉くんの?」

 私が大倉くんを指差して聞いた。

「そうそう。大倉の彼女。めちゃ可愛い」

 山本くんが言った。

「そうなんだー。ふぅん。粗末にしたら浮気されちゃうかもよ。」

「ないない。それはない。平気。平気。」

 大倉くんは言った。