数分後正美から電話がきた。もうビルの前にいるという。私は店の名前を告げた。

「お疲れ。」

 と言いながら正美は2人の子供を連れてやってきた。お兄ちゃんの方には1度会ったことがある。下の子は初めてだ。

「ほら、みんなに挨拶は?」

 母親に促されてお兄ちゃんがボソッと

「こんばんは。」

 と言った。若干人見知りしている様子だ。お兄ちゃんの声にかぶるように下の女の子が

「こんばんは!」

 と大きな声で言った。下の子は人見知りしている様子もない。

 正美は私の向かいに座って子供たちが正美の横に並んだ。子供たちが食べられるような食事のメニューを選んでから自分の飲み物をオーダーした。

 正美は以前からこうして売場の仲間との飲みに来ていたらしい。一度帰宅して上の子を連れて下の子を保育所に迎えに行ってから参加するのだ。