凪くんを放課後2人で、話したい事があると教室に残ってもらった。

「朝比奈、どうした?」

何も知らないかのように聞いてくる凪くん。これから美桜ちゃんと幸せになるんだなと考えると胸が痛くなった。

「私凪くんの事が好きです!」

「ごめん、俺は美桜の事が……」

やっぱり、美桜ちゃんと……。
悲しいけど、分かっていた事だから……。

「大丈夫、美桜ちゃんと頑張ってね!」
泣かないように気をつけて頑張って笑顔を作った。
無理やり作った笑顔なのだから、変な顔になってしまっているのかもしれないけれど、私のちょっとした強がりだ。

教室から立ち去る時、凪くんが「本当にごめん……」と呟いた気がした。

これでいいんだ。
これからは全力で美桜ちゃんとの恋を応援しよう!
私の一方的な片思いは、私を苦しめるだけでなく、私を成長させた。あなたに伝えることのできた気持ちを、自分自身に向けて、しっかりと向き合った。
私の初恋としてずっと大人になったとしても胸に秘めた思い出になるだろう。