__甘い香りがする。

これは、彼の香りだろうか。
いや、今は元彼か。そうか。浮気されたんだった。

あの女の声も聞こえる。

私は両耳を両手で塞いだ。
視覚も聴覚も塞いだはずなのに、どうしてかハッキリと聞こえてきた。

気に食わない。何もかも。

彼を取られたというような感情は無く、ただ、虚しさと恐ろしさが私を襲ってきた。

私はついに声を出して呻いた。



「ぁぁぁ、ぁぁぁぁ!!!!!!!!!」





_助けて。助けて。誰か、私を助けて。