戸惑う中、思い出したのは3年前のユノ。


“ホント王子様みたいだよね”


休憩時間はクラスの女子からの視線をたくさん浴びていた。

みんな、彼を見るときは目がハートだったの。


テストが返却された日も、

“はい、静かに! 100点をとったのは湯前くんひとりだけでした。みんな拍手!”

体力テストの時間も、

“わぁ! ユノってすごい! 高跳びでもいちばんとったんだって!”

いつも注目されていた。


かっこよくて、なんでもできる王子様。

本当に完璧で、まるで少女マンガの中から出てきたような男の子だった。

なのに、何この姿……この人、絶対ユノだよね……。

顔立ちはそのままだけど、輪郭が大きくて体も太っているから別人のように思えてくる。

ていうか、そのお腹……やばくない? ベルトにお肉がのってるし。

まるでお相撲さんみたい。


「……っ」
目をぎゅっと閉じて、心の中で叫ぶ。お願い、夢なら今すぐ覚めて。

けれどそんな思いもむなしく、そばまできた彼はスッと手を伸ばしてきて……。


「きゃっ」

「やっと逢えた!」


強引にわたしの体を引き寄せると、その腕の中に包み込み、耳もとに唇を寄せてくる。


「ただいま……マイハニー」