「避けられているときはアメリカでの自分を後悔したけど、でも……“ここまで太ってしまったら”って……諦めてたんだ。……でも、後夜祭のときに果歩ちゃん言ったよね。太ってるオレがショックだった、って」

それは……確か、ベンチでいるときに言ったものだ。

文化祭でエイミーと仲良くするユノにイライラして、体型のことをまた口にした自分。

そのことを謝るために言った言葉。最初はショックだったけど今はもう気にしていないよ、という意味だったはず。

でも、

「その言葉で“よし、痩せよう”と思った。好きになってもらうためにも痩せなくちゃ、って……でも、ご飯の量を減らすと夜中にお腹が空くから……我慢できなくて食べたりしてた」

あのときのユノは、わたしが体型を気にしなくなったということよりも、気にしていた時期があったということに重点を置いていたという。

「そんなとき、花火大会で果歩ちゃんと見つめ合って…………あのあとオレ、浮かれちゃってさ。……無理して痩せなくても好きになってもらえるんじゃないか、とか思うようになって…………結局、夏休みはご飯の量も元に戻してた。……向こうはカロリーが高いものが多いから、体重もそれまで以上に増えてたと思う」

ユノは前髪を手でクシャクシャにして、情けなさそうに言う。

「あの3年の言葉は間違ってないんだ。……果歩ちゃんにかばわれたとき、すごく自分が恥ずかしかった」

スポーツ大会でのことを言ってるんだと思う。

“9月末だったかな……ほら、ちょうどあのスポーツ大会の後。帰る前に先輩と会ってるときに……偶然、グラウンドを走るユノくんを見かけたの”

しずちゃんの言葉が頭の中をよぎる。

それでユノはお弁当の量を減らして、走るようになったんだね……。