「き、騎馬戦……?」

彼の下で馬になっていたのは、体育館でも一緒にいた特進クラスの3人だった。

恥ずかしげもなく白タイツを履いている先輩は、高い位置から長い望遠鏡で人ごみを見渡している。

「果歩ちゃん、こっち!」

振り返ったユノが、わたしの体を反転させてくる。

見つからないために、と考えてだろう。

仕方なく、彼の言うとおりにして、来た道を戻ることにした。

ところが、その数メートル先でわたしたちはまた立ち止まる。

「湯前くーん! 湯前くんはどこー?」

小人の格好をした6人の相撲部員たちを引き連れた、お姫さま姿のツインテール。

彼女はきょろきょろしながら、赤いリンゴとひとり分の小人の衣装を抱えている。

「あ……ピカルン先輩」

背後のユノは今にも声をかけそうな様子。


「ユノ、あっちへ行こう」

「え、でも……」

「いいから!」

見つかる前に、と急いでユノの手首を掴んだ。

邪魔されたくない。その一心で、わたしはひと気のない場所を探す。