荷馬車が止まりレオ様に呼ばれて本から目を離すと、潮の香りがすることに気づいた。

遠くに海が見える。

そして、その手前にはジョニデの故郷と思われる大きな街が広がっていた。街全体が眩しいほどに白く、海の青とのコントラストは息をのむ美しさだった。

「港町なので主な産業はもちろん漁業なのですが、魚料理や景観を売りにして、国が観光に力を入れてるんです。見ての通りそこそこ大きい街なので、王国ほどではないですが図書館などの公共施設も充実しています。落ち着いたらご案内しましょう」

さすがジョニデ、私が何を欲してるのか、よくわかってる。

でも今は、やっぱり魚料理だよね!途中で川魚を塩焼きにして食べてたけど、きっとそういうんじゃないんだよ。ブイヤベース的な!アクアパッツア的な!

「私の実家が宿屋を営んでるので、部屋を用意してくれているはずです」

なんと、ジョニデの実家に行けるのか。確かご両親はもう亡くなってるんだよね。兄弟か親戚が跡を継いでるのかな?

なんにしても、楽しみだな!

考えてみたら、私は勉強ばっかしてたから、りょうちゃんと行った海や温泉以外、まともに旅行なんてしたことがなかった。

なんか海外旅行に来たみたいな、浮かれた気分になってきたな。

「小さい頃この国で休暇を過ごした時以来だから、俺も久し振りの海は楽しみだな。あと半日も馬車を走らせれば街に到着するから、夜は教皇のおすすめの魚料理を食べよう」

「そうですね。肉料理も美味しいのですが、やはり今日はとりあえず魚ですね」

「私、サラダが食べたい!海鮮サラダみたいなのあるのかな?」

「タコやイカが入ったサラダはおすすめです。生野菜をサワークリームで食べるのも捨てがたいですが、、」

「サワークリーム?ああ!私も大好き!大丈夫だよジョニデ、両方いけるって!」

「よし、とりあえず先を急ぐか!」

ああ、ワイン飲みたいなあ。早く大人になりたい、、くううう。