町を出てから1週間、私は飽きることなく本を読み続けている。もう本当、魔法の教科書が楽しくてやばい。

日が暮れて文字が読めなくなるのがもどかしくて、ライトが欲しいと思っていたら、指先を光らせる魔法を習得してしまった。魔法が便利過ぎる。

左手のボールに魔力を流しつつ右手を光らせて教科書を読む私に、さすがのジョニデもあきれ顔だ。

あれから少しして体力だけじゃなく魔動力の数値も見れるようになったから、スタミナ切れだけは起こさないよう気を付けてるのに、みんながよってたかって私を休ませようとしてくるの、できればやめて欲しい。

「ずっと荷馬車に乗ってたら体がおかしくなるだろう、聖女も少し動いた方がいい」

レオ様がそう言って私を無理矢理荷馬車から降ろし、本の代わりに釣竿を持たされた。馬車道を少し外れ林を抜けた先に川が流れていて、そこで今日の夕飯を調達するらしい。

探知、、とかできたらいいのにな。イルカの超音波みたいに魔法を出せたら、探知できそうじゃない?

体力 17/28
魔動力 325/412

うん、まだ余力たっぷり、魔力を出し過ぎないように気を付けてやってみよう。

針先から魔力を一滴垂らしてできた波紋が広がるイメージ、、あっ!多過ぎた!

と思うやいなや、魚どころか半径数キロ圏内にいる動物の位置情報が一気に送られてきて、脳にガツンと衝撃が走った。

体力 17/28
魔動力 295/412

うう、やっぱ新しいことを試そうとすると、力加減が難しいなあ。

頭をフリフリ、送られてきた位置情報を元に魚を探してたら、後方の不自然な場所に二つの人影があることに気づいた。

マッチョ達護衛の人影は荷馬車のそばにあるし、明らかに私達以外の誰かが、道を外れた林の中にいる。しばらく様子を伺ってみたけど動く気配はない。

「ねえレオ様?もしかして私達って監視されてたりするのかな?」