鑑定結果はオーラで見えるという常識が、結果の数値化や文字化を邪魔していたのかもしれない。

聖女はまだ体力系の結果しか見えてないようなので、ある程度の知識レベルは必要そうだ。だがそのレベルを超えれば、鑑定を使える者なら誰でも、文字と数字による結果の一覧表示ができる可能性がある。

聖女にそう伝えると、単純に体力以外の結果も数値化されることを喜んでいた。

聖女に許可をもらって神殿にこの件を報告し、鑑定結果の数値化と文字化の普及のため、早々に研究を進めるよう指示を出そう。

私レベルの鑑定ができる者は少なくないので、きっと数値化や文字化に成功する者は多くいるだろう。

健康状態が文字化されれば、病の治癒は劇的に向上する。

魔力や身体能力向上の効率化にも大いに役立つはずだ。魔力の数値化によってオーラが見えにくい子供の魔力の有無を鑑定できれば、英才教育も可能となるかもしれない。

私の横で魔力操作訓練用のボールに延々と魔力を流しながら魔法教本を黙々と読んでいるこの幼い少女は、世界の常識を根底から覆し好転させた人物として歴史に名を刻まれることになるだろう。

まだ旅は始まったばかりだが、聖女はひたすら魔力操作の訓練と同時に本を読んで知識を増やし続けるという貪欲さを発揮しており、みるみる魔法の能力を向上させている。

この調子だと、聖女は稀代の大魔法使いとしても、歴史に残るに違いない。

この奇跡のような聖女に仕える機会を与えられたことを、私はただただ神に感謝した。