あれから数ヵ月、りかちゃんはやはり人間が気になるようで、頻繁に様子を見に行くようになっていた。

どうやら、あの中に気になる人間がいるらしい。

あの船が沈む映画で船と一緒に沈んだあいつにそっくりな奴がいるのだが、多分そいつだろう。

あの有名な映画をみせた時、りかちゃんの反応が明らかに他と違ったから、絶対に間違いない。

りかちゃんは、あのキラキラ系男子を見る度に、うっとりメロメロ状態だ。

俺だって、一般人レベルではかなりキラキラ系のイケメンだ。今だって、サルレベルではかなりキラキラ系だしね、多分だけど。

でもさ、あんなキラキラで他人をボコ殴りにしてくるような金髪碧眼完全無欠の王子様キャラには、どう頑張ってもかないっこない。あんなの、反則だよ。

りかちゃんに「レオ様」なんて呼ばれてるあのキラキラ野郎が、むかついてしょうがない。

どうせ俺はサルだよ!

直接人間達と関わるようになってからは、このイライラをあのキラキラにぶつけて多少は解消しているものの、種族の壁は越えられるものではない。

俺だってわかってるんだ。りかちゃんはこれからどんどん大きくなって大人になる。

いつか恋をするだろうし、結婚して子供を産むことだってありえる。

そんなりかちゃんの幸せを、サルの俺が邪魔しちゃいけないって。

わかってるけど、今はまだ、その時ではない。

だから俺は今日も、あのキラキラを少しでもイラつかせることで、自分のイラつきを解消する。

キラキラめ、りかちゃんのこと、転生者なのか?って恐い顔して問い詰めるとか、マジ許せんな。

転生してちゃ悪いのか!俺だって転生ザルだ!やんのかこらー!