「ジョニデは魔法の修行をしてたんだよね?」

部下への手紙をしたためていたら、今日は休むと言って王子の誘いを断った聖女が部屋へ入ってきて、そんなことを聞いてきた。

「はい。聖職者の修行には、魔法関連のものが多く含まれていますからね」

「魔法関連って、、そんなに色々修行する内容があるってこと?」

やはり魔法に興味があるのか、、諸刃の剣だが、王国に着く前に少しでも魔法を使いこなせるようになれば、それが聖女の武器になるのかもしれない。

あまり時間もない。私の指導で聖女の能力を引き出せるだろうか。

「まだ解明されていない部分も多いですし、魔法は奥が深いです。聖女も勉強してみるといいかもしれないですね。おもしろいかもしれませんよ?」

「勉強かあ。嫌いじゃないけど、やっぱそうだよねえ。回り道なようで近道ってやつだね、うんうん」

何やらブツブツとひとりで納得しているようだが、勉強する気があるなら渡りに船だ。

「午後になったら魔法の基礎を学べる本を探しに行ってみますか?」

「行くー!」

中身が大人だと知っているのに、聖女を見てるとついそれを忘れてしまう。不思議な人だ。

「私が聖女の年の頃は、本での勉強より実際に魔法を使う練習が楽しくて夢中でやっていました」

グラスに水を少しついで、テーブルに置く。

「懐かしい練習法を聖女にも教えてあげましょう」