翌日、朝食を済ませてから、ジョニデと一緒に町に出た。

ちなみに朝食は、野菜がいっぱい入ったあっさりスープに素麺みたいなのが入ってるやつで、昨日食べ過ぎてしまった私のお腹を優しく癒すだけじゃなく、しっかり満たしてくれる優れものだった。

朝食はレオ様も一緒だったけど、完全に無視してやったわ。

「うわー思ってたより、たくさん店があるかも。凄いね!」

「この町は旅の中継地点として訪れる人が多いので、旅に必要な物が揃ってますし、珍しいものも集まりやすいのかもしれませんね」

そう話しながら、ジョニデは店先で何やら地図のようなものを広げた。

「私は神殿を滅多に離れられないので、地図を見るのが好きなんです。地図を見ながら旅をしている自分を想像するのが趣味なんて、少しおかしいですかね」

そう言ってジョニデは笑い、その地図を購入した。

「だからこうやって、神殿の外で聖女と一緒に過ごせるのは、私にとって奇跡のような体験なんです」

ジョニデが幸せそうに笑うので、私もなんだか嬉しい気分になる。

少し休憩しようと誘われて店に入り、お茶を飲んだ。

「さっきの地図、私にも見せて!」

席を移動し、ジョニデとふたりで地図を覗き込む。

「ここが今いる場所ポルポラです。そしてこの上にある大きい国がトレドミレジア王国です」

「うわあ、本当に大きいな。でも他にも結構国があるんだね」

「そうですね。王国には海がありませんが、ほら、ここから東に少し進むと、海辺に国がいくつかあります。私はこの海辺のピスタリーノ国の出身で、人より多く魔力を持って生まれたために、王国にある神殿で暮らすことになったんです」

「へえ、ジョニデも魔法が使えるんだね!」

「これでも聖職者ですので、簡単な契約魔法や癒しの魔法も多少は使えます。聖女の足元にも及びませんがね」

そうか、ジョニデは呪いのスペシャリストではなく癒し系だったのか。

「何歳の時に家を出たの?」

「18です。今の聖女くらいの年で魔力を持っていることがわかり、町の教会でその使い方を学びながら聖職者として修行をしていましたが、成人した時に神父から神殿に行くことを薦められたんです」

「もしかして、その後家族には会えてないの?」

「両親はもう亡くなっています。教皇なんて偉そうにしていますが、親の墓に行ったこともない、とんだ親不孝者なんです」

ジョニデの話が思っていたよりだいぶズシンときて、自然と悲しい顔になる。そんな空気を察したジョニデが、明るい声で聞いてきた。

「そういえば、聖女は何か欲しいものは見つかりましたか?私は使う機会がほとんどないので、実はこう見えて小金持ちなんです」

うおーまじか!なんか買ってくれるのか!ジョニデのどや顔なんてレアなものまで見れたし、今日はなかなかついてるな。

欲しいもの、欲しいもの、うーん、いっぱいあるけど、とりあえずは、

「服が欲しいな!」