「子供の裸を見ても何も感じないとか、嬉しくもなんともないとか、そんな酷い言い方しなくてもいいじゃんか」

私の目の前で聖女がさめざめと泣いている。

なるほど、裸を見られたことではなくて、そこを怒っているのか。

「そうですね。王子は少しばかりデリカシーに欠けていますね」

私のその言葉に、聖女は激しく頷いて、鼻をすすりながら続ける。

「もう恥ずかしくてレオ様には会えない。ていうか会わない。だってむかつくから」

ほお、これは願ってもない展開になってきたぞと、心の中でほくそ笑む。

このまま王国に戻れば、聖女は王国のいいように扱われてしまうこととなるだろう。まだそれを回避する術は思いつかないが、少なくとも時間の猶予が欲しいと考えていたのだ。

「まあ今更急ぐこともないでしょうし、しばらく町でゆっくりするのもいいかもしれませんね。その間王子には頭を冷やしてもらいましょう」

「本当に?やった!ここのご飯美味しくて大好き!他にも色々見て回りたいと思ってたんだよねー」

なるほど、その手がありましたか。

この機会を逃さないよう、自分がすべきことを頭に思い描きながら、聖女に話を合わせていく。

「それはいいですね。私もちゃんと回ったことがなかったので、是非お供させて下さい。楽しみですね」