気づいたら、森を抜けていた。

そして、恥ずかしいから拒否したはずなのに、私はレオ様におんぶされていた。

ああ、やっぱりレオ様はいい匂いがするわあ。私の消臭リッキーの効果で、いい匂いが倍増してるわあ。マッチョには悪いけど、最高だな。

そんなことを考えながら、レオ様の匂いを深く吸い込んでいたら、サルがレオ様の頭に飛び乗って髪をぐちゃぐちゃにかき混ぜた。

「サル、うざい」

そう言って、レオ様は頭からサルを引き剥がした。なんか、反応薄いな。

「ん?聖女、もしかして起きた?」

「うん、おはよう」

「町に着く前に目覚めて良かったですね。今夜は何か美味しいものを食べようと、皆さんと話していたところですよ」

町に着くのが嬉しいのか、ジョニデがいつもよりご機嫌だな。

「もうすぐ着くなら、私も歩きたいな!」

本当に町が近かったみたいで、レオ様があっさり背中から降ろしてくれた。

「久し振りの陸はどうですか?ふらつくようなら、背中をお貸ししますよ?」

レオ様がなんか意地悪だな。

と、私が思うより早く、サルがレオ様に、大きい石を投げつけた。

「危ないだろうが!このバカザルが!」

サルがからかうようにレオ様をかわして逃げていき、さすがに怒ったレオ様がそれを追いかける。

なんか、仲良しだな。

「あのふたりはいつもあの調子なんですよ」

いつの間にか、ジョニデが私の隣を歩いていた。

「聖女にとっては初めての町ですね。楽しみですか?」

「もちろん!超ー楽しみ!大きい町なのかな?」

「ああ、残念ながらこの町はそんなに大きくないですね。森よりは聖女が喜ぶものがあるかもしれませんが」

そう言ってジョニデは少し困ったような顔をした。あんまり期待しない方がいいって感じなのかな?

「でも王国に戻ったら、外の世界を見ることはなかなか叶わなくなると思うので、今の内に満喫しなくてはいけませんね」

「え?王国から出られなくなっちゃうってこと?」

「そうですね。王国というよりは、神殿なのか城なのか、聖女がどこに住むかはまだ決まってませんが、そこから出ることも少なくなると思います」

「まじで?聖女ってそんなに不便な感じなの?」

「いえ、不便なことはないですよ?ただ、少しだけ、不自由かもしれないですね」

「えーやだなー絶対神殿か城に住まなきゃ駄目なの?王国の中にも町とかあるでしょ?ジョニデ達のご近所でもいいから、サルとふたりで暮らせたらいいなあ」

「うーん、それはちょっと無理かもしれないですねえ。聖女が戻るのを王達が今か今かと待ってますから、戻れば必ず、聖女をそばに置きたがると思います」

「うげー何それ。超絶面倒臭そうなやつじゃーん。なんか萎えるわあー」

「まあまあ、とにかく今は、今夜のご馳走を楽しみにして下さい」

「そうだった!よーしいっぱい食べるぞー!」

なんか、少し心に引っ掛かる気がするけれど、駄目だ!お腹が空いて頭が働かない!早く町に着かないかなー!