目が覚めて、ベッドに寝ている自分に驚いた。

そうだ、レオ様達のテントでお世話になってるんだった。

そういえば、久し振りに凄く泣いちゃったよね、私。

サルが死にかけた時以来か。あの時よりも泣いちゃったかも。なんか、スッキリしたな。

ていうか!ていうかですよ!

何あれ!レオ様!まじなんなの?

あれ本当、反則じゃない?跪くとか!ちょっと乱暴に抱き寄せるとか!耳元であんな甘ーいセリフを囁くとか!

殺す気か?必殺技なのか?

もう本当、レオ様、まじやばい。

さっきからあの主題歌のイントロが大音量で流れ始めちゃってるよ!

来るよー!サビが来るよー!

「ヤー!ヒー!ゼッナーシンガッヒー!」

感極まった私は、ベッドの上で両手を広げ、大声で歌いながら、沈没船ごっこをしてしまった。

突然の歌声に、レオ様とジョニデが大慌てでテントに入ってきて、ひとりじゃなかったことを思い出す。

あ、やばい。生レオ様、恥ずかしくって直視できない。

レオ様とジョニデに背を向けて、絶対赤くなってる顔を手で隠した。

「うおお!なんだサル!こっちくんな!あわわ!バカ!やめろ!」

なんかサルがレオ様に特攻してるけど、まあいっか。

「ということで、そろそろ森を出ましょうか」

レオ様とジョニデが、あっけにとられたような顔をしている。

ひと月以上寝ていたらしいので、お前が言うなって思ってるのかな?

「え?だって、ここにいても、もうやることなくない?」

「男達は夢を追い続ける!世はまさに、大海賊時代!」

私の脳内では既にオープニングが始まっているというのに、このおじさん達はノリが悪過ぎるな。

「海賊って、どういうことだ?」

「わかりませんが、王子はむしろ少しでも早い方がいいのでは?」

「いや、今更急がないが、教皇こそもっと話を聞きたいんじゃないのか?」

何やらふたりでコソコソと相談している。

寝てる間にすっかり仲間外れにされているな。寂しいじゃんかー。