王子と聖女がシチューを作り、その後私も誘われて、一緒に食卓を囲んだ。少なからず気まずいと感じているはずなのに、聖女の優しさに視界が滲む。

「で、聖女はどうやってここで暮らしてたんだ?やはりサルに面倒みてもらってたのか?」

気まずいことは一気に済ませてしまおうと言わんばかりに、王子が聞きにくい質問を聖女に投げかける。

この青年も、やはり優しいのだ。

「あーそれ、やっぱ気になっちゃうよねぇ」

そう言いながら、聖女はチラッと私を見た。

苦笑を返して、先を促す。

「サルとはさ、割と最近知り合ったっていうか、まあ、日にちの感覚がないからわかんないけど、あくまで体感的にね?多分そんなに長くはないと思う。私がレオ様のお仲間を傷つけちゃったのって、どれくらい前なの?」

「あーあれは大体半年前だな」

王子の解答に、聖女は少しばかり驚いた様子だ。

「思ってたより前なんだね、、じゃあサルとは1年くらいかな?わかんないけど、、」

「え?じゃあそれまではどうやって、、」

いよいよ聖女が気まずそうに、こちらを伺う。

「赤ん坊の姿のまま、魔力で命を繋いでいたんですね?」

私を気遣う聖女に代わって、私が答えた。

「うん、多分、そうかな」

それから聖女は、言葉を選んで、ポツリポツリと、10年間のほんの一部を、私達に語って聞かせた。