目が覚めると、そこはやけに見覚えのある部屋の中だった。

あれ?ここって、城にあるりかちゃんの部屋だよな?ん?死んだと思ったのは、夢だったのか?

「ねえねえジョニデ。この子、少しだけど、魔力があるんだよ」

声がした方へ顔を向けると、りかちゃんがジョニデと共に頭を寄せて、のぞき込んできた。

こ、これは、どういう状況だ?

「あー、確かにありますね」

少し遅れて、あきらの顔が現れた。

「この子、黒目黒髪で顔立ちも梨花子さんに似てますかね?かわいい赤ちゃんだ」

なんだって!?

慌てて体を動かし確認しようとするも、思うように動けない。だが目に入った手は、見慣れたサルのそれではなく、小さいが確かに人間のものだった。

嘘だろ、、

人間に生まれ変わってりかちゃんに愛されたいとは言ったが、俺が望んだ関係は恋人だ!親子じゃない!

衝撃を受けて絶望している俺に、りかちゃんが追い討ちをかけてきた。

「私やあきら君が森で生き残れたのは、私達が特殊だったからだよね?」

「ちょっと梨花子さん?無茶なことしてこの子の魔力増やそうとか考えちゃ駄目ですよ?絶対に駄目ですからね?」

「何それ。あきら君、それはフリなのかな?」

「いやいや、本当に。僕が普通の人間なら、森の中で軽く100回は死んでますからね?」

「もー冗談だよーかわいい我が子にそんな酷いことするわけないじゃーん!」

りかちゃんのその発言に説得力がなさ過ぎて震える。

「でも何かしらあると思うんだよねえ、魔力を増やす方法、、」

とりあえず森に置き去りは回避したっぽいが、なんか風向きが怪しい、、

「まあ、ゼロではないかもしれませんよね?」

わかってた。ジョニデはなんやかんやでりかちゃんに甘いんだ。

「そうかもしれないですけど、絶対簡単じゃないし、赤ちゃんで試すのは、、」

あきら!お前は俺の味方じゃないのか!?もっと頑張れよ!

やばい。このままじゃ魔法3馬鹿トリオに殺される、、

転生早々命の危機にさらされ、怯えることしかできない俺の元に、救世主が現れた。

「俺の息子を魔法の実験に使うなんて、絶対に駄目だ!!!」

キラキラー!!!

「いい大人が3人も揃って、やっていいことと悪いことの区別もつかないとか、本当ありえないだろ!?」

そうだそうだ!もっと言ってやれ!

「あんた達は限度というものを知らな過ぎる!あまりに無茶をするようなら、法律を作って規制することも検討するからな!」

パパ!最高!大好き!

こうして俺は、生き延びるために生粋のパパっ子となり、キラキラと和解した。

こんなことなら猫として生まれ変わりたかった気もするが、これはこれでめでたしめでたし、、なのか!?

(完)