1年の婚約期間を経てキラキラと結婚し王妃となったりかちゃんは、数年後に王子を、更にその数年後には姫を産んだ。

思うところは多々あるが、産まれてきたりかちゃんの子供達は天使のようなかわいさで、あれ?お迎えがきちゃったのかな?って思ったし、今ではりかちゃんの次に大切な、俺の宝物達だ。

あきらは、神殿と王国と公国が協力して設立した魔法研究所の所長となり、王妃であるはずのりかちゃんと、彼女の相談役(監視役)になったジョニデの3人で、研究に没頭する日々を送っている。

何気に惚れっぽいあきらは、恋をする度俺に恋愛相談をしてくるが、残念ながらいまだ恋は実らず童貞を拗らせ、その憤りを仕事にぶつけているようだ。

それぞれ立場や環境は変わっているのに、魔法の研究に夢中になる彼らのその様子は、公国で過ごしていた時となんら変わらず、時間の経過を麻痺させていたかもしれない。

体長が30センチにも満たない小猿の俺の寿命は、りかちゃんの癒しの魔法をもってしても尽きかけているらしく、最近、一日の大半を寝て過ごすようになっていた。

『生まれ変わるなら、次こそ人間になって、りかちゃんの夫に返り咲きたいなー』

「いや、また転生できるとも限りませんし、そもそも梨花子さんは大国の王妃なので、そんな下心を持った人間は簡単には近付けないんじゃないですか?」

『あきら、、お前が童貞であり続ける理由はそういうとこだぞ?空気読め?今は夢の話をしてるんだぞ?』

「でも無理なものは無理じゃないですか、、」

『いやいや、エンカウントさえできれば、りかちゃんならひと目で俺だとわかるかもしれないだろ?』

「僕や梨花子さんは召喚されたから前世の容姿のままですけど、普通は遺伝の関係で見掛けは変わってしまうんですよ?」

『え、まじか。それは難易度がぐっと上がるな、、』

「そうですよ。せっかく転生するなら猫とかになって、またペット枠を狙った方が確実ですよ?」

『えーまたペットかよー』

ペットとしてりかちゃんのそばに居続けられたサル生も悪くはなかったが、生まれ変われるならやはり人間になって、彼女からの愛を一身に受けたいと願わずにはいられない。

『それとも、俺が美少女に生まれ変わって、あきらの童貞もらってやろうか?』

「え?、、いいんですか?」

『うわー本気にすんなよ。必死過ぎて気持ち悪いわ。まじで無理、、吐きそう』

こんな馬鹿話をしてる間にも時は流れ続け、俺はりかちゃん達に見守られながら、おそらく世界一幸せなサルとして天寿を全うした。