キラキラがいなくなって寂しそうにしていたりかちゃんは、学校に通いだしてあきらと過ごす時間が増えると、徐々に元気を取り戻した。

あきらは、多分俺の元患者だ。子供だったのもあるし、雰囲気が変わっていたからはじめは気づかなかったけど、間違いないだろう。あきらは俺が自分を担当していた整体師だって気づいてないみたいだから、余計なことは言わずにそのまま過ごしている。

俺とりかちゃんの事情を打ち明けると、気遣いからかあきらは通訳魔法をオフにしたようで、俺から頼んでオンにしてもらい、たまに話し相手になってもらっていた。

はじめの内はたいして話すこともなかったが、この半年程、凄くお世話になっている。いつまでも迎えにこないキラキラのせいで、りかちゃんが明らかに落ち込み始めたのだ。

りかちゃんは最初からキラキラを気に入ってたし、あいつが国に戻る時の様子で少なからず好意を持ってるのもわかってた。

それがキラキラと離れてからの1年半でどう変化したのか、いつの間にかりかちゃんは、寂しさ以上の感情を抱えているようだった。

その様子は、病室のベッドで俺と別れたくないと泣いてすがったりかちゃんの姿と重なる。あの時の俺とりかちゃんは、これ以上ないほどに愛し合っていた。

りかちゃんはあいつのことを、愛しいと感じているんだろう。

覚悟をしていたつもりだったけど、想像以上にダメージを食らった。

俺はりかちゃんを幸せにすることにいつも必死で、それはサルになった今も変わらない。でも今のりかちゃんを幸せにできるのは、サルの俺じゃなくて、あいつだ。

「大丈夫、、じゃなさそうですね?」

キラキラのせいで元気のないりかちゃんを見てるのが辛くなり、外に出てボーッとしてたら、あきらが声をかけてきた。

『本当、サルじゃなかったらなあ』

「前に言ってたじゃないですか。サルじゃないと梨花子さんのこと救えなかったって、、」

『そうだけど。でもスライムだったら人間に擬態とか、、』

「いや、あれはかなりのチート能力ですよ?」

『お前、励ましにきたんじゃないのかよ、、』

「、、すみません」

『キラキラ王子がさっさとりかちゃんを幸せにしてくれれば、俺だって諦めがつくんだよ!あいつ、まじで何やってんだよ!』

「戦後処理ですかね。それに彼は王になるらしいので、好きって気持ちだけでは片付かない問題が、色々あるんだと思いますよ?」

『お前さ、こういう時友達ならマジレスしないで、そうだ!そうだ!って一緒に怒るのが正解だぞ?』

「え?と、友達って、、」

『お前なあ、サルに友達って言われて嬉しそうに照れるとか。どんだけ寂しい人生送ってんだよ』

「っ!?照れてませんよ!」

『いやいや、顔真っ赤だよ?』

俺にからかわれたあきらは、ツンデレの見本みたいな怒り方をしているが、おかげで少し気が紛れた。

あきらは本当にいいやつだ。こいつがいてくれて良かったと、心からそう思う。