恐怖のあまり言葉を失う。

「えー?まだ信じてくれないの?しょうがないなー」

少女の皮を被ったバケモノが再び指を鳴らすと、一瞬で氷が溶け兵士達のわめき声で埋め尽くされた。

そしていくつもの竜巻が突如発生し、逃げ惑う兵士達が家ごと飲み込まれていく。

「こんなこともできちゃうんだなー」

そう言って何やら眉間に皺を寄せ、窓の外に意識を集中させている。

一瞬何が起きているのかわからなかったが、竜巻で目茶苦茶になった街並みが、徐々に元の状態に戻っていった。

時間を、、戻したのか、、?

「ねえ?聞いてる?無視してるの?説得が無理なら、もう容赦しないけど?」

は?これまでのことが容赦していたとでも言うのか?

混乱している間に、バケモノの手が外へとかざされた。

瞬く間に街全体が火の海と化し、地獄さながらの状態となる。もはや兵士達がどうなっているのかさえわからない。

突然の豪雨による鎮火、、と思いきや、みるみると水位が上がって街が沈み、屋敷の階上にいた私の足も水に浸かり始める。

「わかった!わかったから!やめろ!もうやめてくれ!」

「うわー自分が死にそうになった途端に許しを請うとかださいわー。あなたのせいで何人死んだと思ってんの?もうちょっと頑張ろうよー」

この女何を言ってるんだ?降参しろと言ったのはお前だろ!?

女が指を鳴らし、水が消えた。

助かった、、のか?

「いやいや、そんなわけないじゃん?」

女の纏う空気が一変し、全身が切り刻まれているような、焼かれているような、とにかく激しい痛みに襲われる。

これは、、呪い、、なのか!?

「そうだよ。あなたが起こした戦争で死んだ人達とその家族、全ての怒りと悲しみと恐怖を呪いに込めてあげたから、思う存分味わって?」

これ以上ないと思われる激痛が延々と上書きされ、耐え難い苦痛が全身を襲い続ける。

「頼、む、、助け、て、くれ、、」

「この街の住人に同じこと言われなかった?お願い聞いてあげた?助けてあげたの?」

「ああ、、いっそ、、殺、して、くれ、、」

「それは無理だよ。あなたには死ぬまでたっぷり反省してもらわないと、亡くなった人達が浮かばれないじゃない?」

何故だ?なんで、私が、こんな目に、、

「ほらーそんなこと思ってるようじゃ、いつまで経っても呪いが終わらないよー」

そんな、、

「よーく覚えておいて。この呪いが終わっても、ちゃんと反省をしない限り、私は何度でもあなたの前に現れて、同じことするよ?」

一体どれほどの時間が過ぎたのか、、いつの間にか女はいなくなり、私は床で動けなくなっている状態で王国軍に発見され、そのまま拘束された。

部下や兵士達は意識を失ってはいたが、全員無傷の状態だったという。

あの地獄の惨状はなんだったのか、、

だがいまだに続く呪いの痛みは、これが現実であることを主張してくる。この痛みが消えることはあるのだろうか。死んだ者達の怨みが消えない限り呪いが続くとしたら、、

私は取り返しのつかないことをしてしまったというのか、、