人を傷つけたことに動転して逃げてしまってから、だいぶ時間が経った。

その後動物達があまりにも友好的過ぎて、完全に「ニンゲン、コワイ」みたいなモード入っちゃってた感もある。

なにより、うっかり動物達と一緒に結界の中に入ってしまったのは大失敗だった。

少ししてから気づいてしまったんだよね。

結界の中にいる肉食系の子達が、飢えた目で他の子達を見てるって。

本当焦った、食物連鎖の課外授業がすぐにでも始まる勢いだった。

多分私が結界張ってるんだろうなとは思ったんだけど、意識して張ってるわけじゃないから、どうしたらいいのかわからないわけ。

サル専用の穴のことを知ってたから、きっと結界に穴を開けることができるはずって思って、本当、寝る間を惜しんで頑張った。

人間やればできるもんだね。誰かが食べられちゃう前に、なんとか穴が開きましたよ。

まあ、閉じることができなくて穴開きっ放しですけどね。

頑張り過ぎたせいでまた長めに寝てたらしく、張り切って成長しちゃってたし。

ようやく落ち着きを取り戻し、人間達がどうなったか気になって見に行ったら、若き日のレオ様を彷彿とさせる超絶イケメンを発見してしまった。あの有名な沈没船の時のレオ様を、更にシュッとさせた感じだろうか。

人間に保護してもらえたらって思わなくもないから、この前逃げちゃったこと後悔してたのに、あんなイケメンがいたら全裸なのが恥ずかし過ぎて、出ていけないじゃんかー!

レオ様が消えるのを期待してたまに偵察に行ってるんだけど、あの時はもっとたくさんいたはずの人間が、レオ様と数人を残していなくなってるっぽい。

レオ様は目の保養にはなるけど、みんなと一緒に帰るべきだった。

そしたら今頃、フカフカのベッドで寝ていた可能性を感じる。

例え人間を傷つけてしまったせいで警察に捕まったとしても、土の上で全裸で寝てる今より、余程ましな生活だと思うわけ。

あ、警察に捕まったらサルとは一緒にいられなくなっちゃう。それは絶対嫌だな、どんな手を使ってでも回避だ。

でもそっか、レオ様は私を捕まえるために待ち伏せしてるのかもしれないのか。

なんでいつまでも見張ってるのかなとは思ってたんだよ。そっかそっか、レオ様はイケメン刑事(デカ)だったかー。