生き返らせれば血祭りが許されると思う聖女の思考回路が理解できない、、

「ちなみにですが、治癒はどうやって進化させるつもりですか?」

「え?それはもう、色々試してみるしか、、あ、、」

「気付きましたか?」

「、、はい」

生き返る保証もないのに、実験のために何かしらの死体を用意しなくてはいけないのだ。

「それに蘇生や時間を戻す魔法は、正直あまりおすすめしません」

「どうして?」

「世の中には、死にたくない、若返りたいと考える人が、少なからずいるからです」

聖女は、それの何がいけないんだと言わんばかりだ。

「金や権力を持つ者はその力を欲しがり、愛する者を失った者達も聖女の元に殺到する。過ぎる力は争いや混乱を生むものです」

「あー、確かに。それは困るね、、」

聖女が渋い顔をして、それでもなにやら考えてはいるようだったが、それ以上このことには触れなかった。

サザランド共和国がレグブルモア公国に宣戦布告をしたのは、それから間もなくのことだった。

レグブルモアの王はサザランド共和国との国境沿いの町ラビアで直ちに挙兵したが、そのタイミングで王国のある貴族が独立を宣言し、公国の中央に攻め入ったため、瞬く間に街が占拠された。

王都のすぐ北に位置する街クラピソンが占拠されたことで、国内は一気に緊張状態となる。

王国軍は独立国家ランブランに阻まれ加勢することができず、レグブルモアと北の同盟軍との争いは予断を許さぬ状況だ。

兵力を北に割いている公国の王都は限りなく脆弱な守りとなっていたが、背後で王国軍が睨みをきかせていたことで、膠着状態が続いている。

「ジョニデ、お願い。このまま何もしないでいるなんて、私には無理だ」

「聖女。何度も申し上げている通り、あなたを戦場に行かせるわけにはいきません」

「人を傷つけるようなことは絶対にしないし、生き返らせたりもしないって約束する。怪我してる人達を癒すだけなら離れたところからでもできるから、ね?」

「王子の働きで独立の規模が縮小したから王都の占拠が回避されたのです。敵は想定を上回っていると考えた方がいいでしょう。勝手に動いてもし聖女に何かあれば、全てが台無しになるんですよ?」

「わかってるよ!だからこうしてジョニデに相談してるんじゃん!王都はあきら君がいれば大丈夫だよね?どうしても反対するなら私ひとりで行くからね!」

これでは相談じゃなくてただの脅しだ、、

「絶対に私から離れず、勝手な行動をしないと約束してくれますか?」

「もちろんだよ!ジョニデ、ありがとう」

全く信用ができない。どうして私は聖女に強く出れないのだろうか、、