「聖女様は日本人、ですよね?」

突然日本語で話しかけられ、何を言われたかわからなくて警戒したレオ様が、彼と私の間に入った。

「レオ様、大丈夫だよ」

レオ様に下がってもらい、周りを見回して私達以外に人がいないことを確認し、彼に答える。

「あなたも、だよね?聞きたいことがいっぱいあるんだけど、どうしたらいい?」

「僕は、、」

「魔法のことも転生のことも、誰にも言ってないんだよね?ばれないように、できるだけ自然な形で話をする機会を作ろうと思ってるけど、それでいい?」

彼は頷いて、その後は予定通り、学校の案内を続けた。

いたって普通の学校ではあるが、、

「ジョニデ、私、言葉を覚えたいから、あの学校にしばらく通うことにするわ」

学校訪問を終え、夕食の席で今後のことをジョニデとレオ様に伝える。

もう慣れたもので、ジョニデは『ですよね』みたいな顔してる。いつもならここでレオ様がごねるんだけど、、

「なら俺は、一度王国に戻る」

ん?拗ねてるわけじゃなさそうだけど、、どういうこと?

「聖女が王国にくる前に、王妃と決着をつけてこようと思う。父や兄とも、将来についてちゃんと話してくるよ、いい機会だしな」

「そっか、わかった。そしたらここでレオ様が迎えにくるのを待ってればいいのかな?」

「ああ、聖女が言葉を覚えるよりは長くなるかもしれないが、必ず迎えにくるよ」

そう言って、レオ様が私の手を優しく包んだ。

「ジョニデは?今更だけど、神殿は大丈夫なの?」

「聖女をここにひとりで残すわけにはいきませんし、私の部下はとても優秀なので、私がいなくても大丈夫です」

私が言うのもなんだが、教皇がそれでいいのだろうか。

「帰国が少しのびたところで、なんの問題もないですよ。本当に今更な話です」

言い方なのか、ひと言多いのか。ジョニデの塩っぽさは衰えることがないな。レオ様が甘々だから、余計に塩が際立って、、

そっか、しばらくレオ様の甘々とはお別れなのね。

手を握ったりするからまたサルに絡まれて、、そんなレオ様もしばらく見納めだ。

あの森からずっと一緒だったし、そばにいるのが当たり前になっちゃってたな。

なんだかちょっと、、寂しいな。