倒れたまま全く動かない聖女がどうなっているのかは気になるが、確かめようもなく、そのまま無駄に時間だけが過ぎていく。

動物達はこちらが何もしなければ襲いかかってくる様子はない。

やむなく、聖女が目視できる位置で野営し、交代で監視を続けることとなった。

どうやら聖女は眠っているようで、しばらくすると、何度か寝返りをうつ姿が確認された。

そして驚いたことに、聖女は衣服を身に付けておらず、子供の姿とはいえ、全裸のままだった。

まさかこの10年間、人との接触がなかったのだろうか。そんなことがありうるのか?一体どうやってここまで成長したというのか。

動物に育てられた?

だとしたら、人間の言葉が理解できず、目覚めたところで、我々とコミュニケーションが取れるとは思えない。

聖女を見つけさえすれば、あとは王国に連れ帰るだけだと思っていた。

もしかすると、見つけることより、ここから連れ出すことの方が難しいかもしれない。

これはまずい、しばらく帰れない気がする。

俺は深くため息をついてから、聖女発見に関する報告書をまとめ、急ぎ王国へ送った。

その後聖女は、コロコロと寝返りをうちながら、ただひたすら眠り続けた。

まさかそのまま1ヵ月以上眠り続けるとは思いもしなかった。

普通なら安否が気になるところだが、定期的に発光しているのが確認されたため、多分大丈夫だろうと結論付けた。

大丈夫だという根拠はない、ただなんとなくだ。

よくは知らないが、聖女とは普通の人間ではないのかもしれない。俺は疲れ過ぎて、考えることを放棄し始めていた。