目が覚めると、そこは薄暗い森の中だった。

木々の間から光が漏れているので夜ではなさそうだが、だいぶ深い森のようだ。

死んだと思ったんだが、ここは一体どこだろう。

ん?んん?どうなってるんだ?体がうまく動かせないし、小さくなってる。

俺は転生でもしたのだろうか。

だけど、人の気配がないこんな場所で生まれたての状態って、数日も持たずに死ぬよな?

はあ、やっぱり俺は運がない、、と思ったが、なんか様子が変だ。

あれから数日経ったのに、俺は死ぬどころか、弱ってすらいない。

魔法、、だろうか。30歳まで童貞だと魔法使いってやつが、転生時に引き継がれたのかもしれない。

これはラッキーなのか?例え死ななくても、ここから全く動けないのは、むしろ地獄な気がするが。

、、うん、間違いない。これは地獄だ。

あれからだいぶ時間が経った気がするのに、死なないだけで体が成長していないから、動けないままが続いている。

それだけでも十分過ぎるほど地獄なんだが、こんな深い森の中で、動物がいないわけがなかった。あれは多分犬じゃない。凄く大きいし、きっと狼?

赤ん坊の俺が狼に襲われれば、完全に死ぬと思ったのに、何度咬まれても、たちまち傷が消えていく。ムキになった狼が腕をがぶっといった時はさすがに終わったなと思ったが、腕があった辺りが眩しい光に包まれて、次の瞬間元通りになっていた。

延々と狼に攻撃され続け、痛いし怖いし、気が狂いそうだった。気絶してしまいたい、いやむしろ、お願いだから殺してくれ。もうこんなの嫌だ、耐えられない、誰か助けてくれ。

我慢の限界を迎えた時、突然、ブワッと、凄まじい熱気を感じた。

「キャウン!」

目を開けると、俺を攻撃していた狼が炎に包まれていて、消火しようと必死で地面に体を擦り付けていた。

しばらくすると、狼は動かなくなった。

これは、、俺がやったんだよな?本当に勘弁してくれ、こんなのもう二度とごめんだ。

そう思ったのに、無情にも、俺はその後も動物からの攻撃を受け続けることとなる。

俺が倒した動物の亡骸を目当てに、他の動物が集まってくるという、無限ループが完成していたのだ。

やっぱり俺は運がない。