捜索開始から2ヵ月が過ぎて完全に手詰まりとなっていた頃、再び聖女の魔力が感知された。

今回は、森のすぐそばに拠点を置いていたため、魔力の発生地点をかなり絞り込むことに成功した。まさかとは思っていたが、やはり聖女は森の奥深くにいたのだ。

大森林と言われるだけあり、中心部まではかなり距離がある。ある程度の範囲をしらみ潰しに捜索しながら中心部を目指すとなるとかなり時間がかかるが、隊を3つ、いや4つに分けて捜索すれば、時間を短縮できるだろう。

森の中心部までは長期戦になることを覚悟し、念入りに準備をして、各隊が出発した。

範囲を絞った捜索を開始して1ヵ月が過ぎ、ようやく中心部まであと少しの地点に到達していた。

少人数で動物による襲撃を受けながらの捜索は、正直かなりきつい。早く聖女を見つけて家に帰りたいと皆が思っていることだろう。

少し休憩しようと仲間に声をかけ、水を飲みながら腰を降ろした瞬間。凄まじい量の魔力が体を通り抜け、全身に鳥肌が立った。

全員その場で固まり動けない。人間だけではない、おそらく動物も皆動けなくなっているのだろう。森全体が不気味なほどの静けさで覆われていた。

今のは一体なんなんだ?

少しして森が一斉に動き出した。

何が起こってるのかはわからない。ただ何かが起こってることだけは理解できた。

あの凄まじいほどの魔力は確実に聖女のものだろう。聖女の身に何か起こったのだろうか、、確かめねば。

いまだ動けずにいる仲間に声をかけ先を急いだ。

やはり森がおかしい、動物が全くいない。

そのまま進むと、少し開けた場所にその答えがあった。

何かを囲むように、動物達が集まっていたのだ。

よく見るとその中心に人間が横たわっている、おそらく聖女だろう。

ここからでは聖女の様子はわからないが、近付くにはあまりにも動物が多過ぎる。

しばらく様子を伺っていると、他の隊の仲間も到着して合流した。

苦労して探した聖女がすぐ目の前にいるのに手出しができない。苛立ちを募らせ、動物を全て退けようと主張する者もいたが、それが最善とはどうしても思えなかった。

動物達は明らかに聖女を守っている。無闇に近付こうとすれば、全力で襲ってくるのは確実だ。

全ての動物を退けることは不可能ではないだろう。ただ、聖女を守る動物達を打ち倒した俺達が聖女の目にどう映るのか、、

考えるまでもないことだ。