「あ、あともうひとつ、、いやふたつかな?魅了をかけられるリスクをなくしたいんだけど、それは可能?」

「残念ながら、魅了を回避するためには、相手の力を上回る魅了を取得するしかないですね。ただ聖女はついている。私は世界でも有数の魅了の使い手です。私を越えればほぼ安全といっていいでしょう。訓練あるのみです」

「おお、さすがジョニデだ!とりあえず魅了を使えるようにしなくちゃいけないんだね。うんうん、了解。あとは、薬物系の耐性をつけたいんだけど、これも地道に摂取していくしかないよね?」

「薬物ですか?」

「うん。具体的にどんなのがあるかはこれから調べるつもりだけど、操られる可能性があるとしたら、薬物も候補にあがるかなって思ったんだけど、違う?」

時間稼ぎと言っていたが、もうほとんど対策できていると言っても過言じゃない気がする。

「この前、お酒でグダグダになっちゃったじゃない?アルコールが駄目ってことは薬もすぐには分解されない可能性があると思って。そういう意味では、お酒も耐性を得るために、訓練が必要だよね?」

そういって聖女が妙に演技がかった目線を送ってくる。私から酒を禁止されたことに納得していなかったようだ。

この人は本当に憎めない。おもしろくてかわいらしい人だ。

思わず笑みがこぼれてしまい、聖女がそんな私を見て驚いている。

「私をなんだと思ってるんですか?人間なので、たまには笑うこともありますよ」

「そりゃそうだ、ごめんごめん。ま、他にも色々あるかも知れないけど、それは思いついた時に都度対策を練ればいいよね」

そして聖女がパチンと手を打った。

「じゃあ、ここからはお仕事の話」

世界中の人を癒して回るというのは方便ではなく、実行するつもりらしい。早速この街での癒しの手配と、次の国への連絡を頼まれた。

これはしばらく忙しくなりそうだ。