翌日、今後について話したいと聖女が部屋を訪れてきた。

「まさか聖女が時間稼ぎのことを王子に話してしまうとは思わなかったので驚きました」

お茶を用意しながら率直な感想を述べる。

「ああ、まあね。でもレオ様は多分大丈夫だから。うん、多分大丈夫」

大丈夫とはどういうことだろうか?

「それより、昨日のレオ様の話はかなり興味深かったね」

聖女と共に召喚され放置され続けた赤ん坊のことが脳裏をよぎる。

「ジョニデ、そんな顔しないで?何百年も前のいたかもわからない赤ちゃんのことを可哀想がってもしょうがないよ。今やれることを考えなきゃ、ね?」

聖女の言う通り、今現在、聖女の対になる子供が存在しているかもしれないのだから、できる限りのことをしなくては。

「でもその前に、昨日のレオ様の話を聞いて疑問に思ったんだけど、王国がどうやって転生者を幽閉してたか、ジョニデわかる?」

なるほど。聖女が自分を基準にして考えたら、いくらでも脱出できると感じるのだろう。

「魔動力を無効化する魔道具があって、それを使うと魔力の放出ができなくなります」

「それって、どんな道具なの?」

「私が知ってるのは首輪ですね。一瞬でも拘束できれば、取り付けることが可能です」

「一瞬でも、、それって体の周りに常に結界を張っておけば、例えどんな形態でも、取り付けを回避できるかな?」

「確か発動条件は肌への接触だったので、結界があれば取り付けはできないと思いますが」

「わかった。じゃあ今から結界を張り続けることにしよう」

シュッと音がしたが、何も変化はないように思える。

「触ってみて?」

聖女が手のひらをこちらに向けてきたので触ろうとすると、数ミリの隙間ができた。

「凄くない?着替えや食事、お風呂の時は、二重に張って安全を確保してから内側の結界を解除すれば、もはや鉄壁のディフェンス。魔力操作のボールのおかげか、だいぶ細かい操作ができるようになってきたんだよねえ。魔法って本当におもしろい。発想次第で色んなことが可能になる」

そんなこと、考えてみたことすらなかった。

私は決して若くはないが、まだしばらくは聖女のそばにいることができるだろう。

今はまだ問題が山積みだが、全てが落ち着いたら、聖女と魔法の研究をするのも楽しそうだ。

「ジョニデも真似していいよ?名付けて、無限結界!見よ!この無敵感!」

そんな高度な結界、私には張れませんよ、、