ジョニデの顔から血の気が引いているが、気にするなと言っても無理な話だろう。とりあえず、ジョニデのことは後回しだ。

「レオ様、先代の聖女の時も戦争があったよね?その時の転生者って、、」

「聖女が崩御して間もなく、寿命を迎えたと聞いているが、詳しいことはわからない」

「何十年も幽閉されてたなら、誰か詳しい話を聞いた人はいないの?」

「対外的には処刑されたことになってるから、存在自体が極秘事項で公に残されてるものは一切ないと思うが、、調べれば何か出てくるかもしれないな。ただ、王国に戻らないと調べようがない」

じゃあ戻ろうって気分にはならないな。遅かれ早かれ王国にはいつか行くんだし、その時に調べれば十分だろう。

むしろ気になるのは、、

「私と一緒に召喚された子が、この世界のどこかにいるかもしれないんだね?」

「可能性はあるが、聖女のように森の中にいたら、見つけようがない」

「でも、教会で10歳前後の男の子について聞いてみるのは、決して無駄ではないよね?」

「それはまあそうだろうが、たまたまこの街にいる可能性は限りなく低いだろう?」

この街だけならそうだよね。

「この街に到着した時、街の人達がジョニデだけじゃなくて、私のことも歓迎してくれてたよね?」

「ん?ああ、王国にいても聖女を目にする機会なんて滅多にないんだ。他国では尚更歓迎されるだろうな」

「私、せっかくだから色んな国を回って、できるだけたくさんの人達に会いたいなって思ったの」

「え?ちょっと待て。何を考えてる?勘弁してくれよ!?」

私が何を言おうとしてるのか察したレオ様が、顔色を変えて慌てふためいている。

「色んな街で男の子を探すこともできるし、一石二鳥だね!」

「冗談だろ!?」

レオ様が額に手をあて、天を仰ぎ見た。

「これは所謂、公務ってやつだよ!ね?ジョニデ?」

さすがのジョニデもレオ様の顔色を伺っている。もうひと押しか?

「出血大サービスで私が怪我や病気を治して回れば、寄付とか増えちゃうかも!」

「それは確かにその通りですね」

ふふ、ジョニデが寝返った。

よし、決まりだな!

「聖女お披露目ツアー開催決定!世界中の人を癒して回る、グルメ紀行だね!」

申し訳ないけど、レオ様にはもうしばらく、お付き合いしてもらいましょう。