「召喚て私でもできる?」

いつものことで慣れつつあるが、聖女が夕食の席で前置きもなく質問をしてきた。

「聖女は世界にひとりしか存在できないので、聖女が聖女である限り、召喚は無理ですかね」

「え?聖女じゃない人も転生させて召喚できるのかなって思ってたんだけど、、」

「召喚できるのは聖女だけです。転生者がどのくらい存在するのかはわかりませんが、わかっている限りでは、皆、出産によってこの世界に転生していると聞いています。聖女が召喚されると転生者が増える傾向にあるので、聖女の関係者が引きずられる形で転生してくるとも言われていますね」

「王国の初代の王もやっぱり普通に転生してきたの?」

「そのはずですが、、」

「そうなんだ、、過去に戦争を起こした転生者は、みんな私みたいな魔力の増え方をしたのかと思ったんだけど、違うのかあ」

確かに、歴史に残る転生者は、私の魔力量を遥かに越える聖女クラスの魔法使いばかりだ。

元々魔力量のかなり多かった私が通常より過酷な鍛練を重ね、他を圧倒する力を手に入れたからこそ、教皇に選ばれた。つまり、聖女の魔力は人知を越えているのだ。

「でも、生まれ持っての能力だったとしたら、そんな大きな力を子供の時に制御できるものなのかなあ?」

言われてみれば、そこまでの大きな力を、大人になるまで暴走もさせずに持ち続けることが可能だろうか?

大人になってから突然魔力が出現したとしても、いきなり制御できる代物ではないだろう。そんな大きな魔力の暴走があれば記録が残ってるはずだが、見落としているのか?

だが、聖女もあっという間に制御を身につけたし、転生者の能力は未知数だ。聖女の言う通り、聖女と同じ増え方をするのが一番自然ではあるが、、

「私、ジョニデ達に会うまでは、自分のこと魔王だと思ってたの。なんか不死身っぽいし、呪いの魔法も使えたしね。私はたまたまサルが人を呪い殺すのを止めてくれたから踏みとどまれたけど、そうじゃなければどうなってたかなって考えたら、これまで戦争を起こしてきた転生者と自分が凄く似てるなって思ったんだよね」

聖女はサルを愛おしげに抱きしめながら、話を続けた。