聖女が俺を隣に呼び寄せて、姿見を指差した。

「レオ様、私、子供だよ?親子には見えないけど、ちょっと犯罪臭が漂うよ?」

確かに聖女は子供だが、犯罪は言い過ぎだろう。

「聖女はあと5年で社交界にデビューする年齢だろ?その時俺は27歳、結婚してもおかしくない年齢差だと思うが?」

「ああ、そっか、そういう世界観なわけね?じゃあ、私は聖女だけど、聖女は結婚するものなの?」

「それはわからないけど、聖女は俺と同じ人間じゃないのか?」

「うーーーん、多分人間だとは思うけど、、その辺はジョニデに聞かないとわかんないよ。そもそも、王国と神殿て何かいわくがあると思うんだ。王子と聖女が結婚なんてできるの?」

「それは、、もし聖女がその気になって、立場的に問題があったとしたら、俺は王籍を離脱してもいいと思ってる」

「えええ、レオ様、それはちょっと重いよ。もうちょっと冷静になって考えよう?そもそも結婚て、、海に行くとか服をお揃いにするとかから、話が一気に飛躍したよね?」

何を言ってるんだ。結婚はともかく聖女が俺を煙に巻こうと、なんやかんやと言いがかりをつけるからこうなったんじゃないか。

「聖女、俺を子供扱いするのはやめてくれ。これでも俺は成人して、大国の王子としてそれなりに勤めも果たしている。立派な大人なんだ」

「ちょ、待ってよレオ様。本当に少し落ち着こう?」

聖女は慌てて俺の言葉を遮ろうとするが、そんなもの知ったことか。

「俺は聖女の成人を待って結婚を申し込むつもりだし、なんなら今すぐ婚約してもいいと思ってる」

「ちょーーー!レオ様!?どうしたの?急に何言っちゃってるの!?」

「聖女のことが好きなんだ。結婚を視野に入れて俺とのことを少し真剣に考えてはくれないだろうか?」

「だから!そんなことをこんな服屋で買い物中に言うなってば!」

物陰からこちらの様子を気まずそうに伺う店主と目が合った。なるほど、確かに聖女の言うとおりだ。