穴を越えた結界の内側で力尽きたように倒れているサルを発見し、私は慌ててサルを抱き上げた。

まだ息はある。

(死なないで!サル!)
(私をひとりにしないで!)
(お願い!誰か!助けて!)

私の腕の中でぐったりしているサルをどうしたらいいのかわからず、ただ泣くことしかできない自分に怒りが込み上げる。

私の擦り傷ならすぐに治るのに!あんな傷!治さなくていいから!サルの傷を治してよ!

「にゃおれっ!にゃおれっ!にゃおれっ!にゃおれっ!にゃおれー!」

全身の毛が逆立つのを感じた。頭の血管が切れそうだ。だけど自分では止められない、とてつもなく大きな何かが、体の奥底から沸き上がってくる。そしてその何かが、私の中から剥がれてゴッソリと抜け落ちるような感覚。

パタパタパタッと鼻血が落ちるのが目に入った。

一瞬の沈黙。

その次の瞬間、私の腕の中で弱々しく息をしていたサルが眩しいほどに光輝き、気が付くと元のかわいい私のサルに戻っていた。

「しゃるぅーーーー」

私はサルを抱きしめ、そのまま気を失った。

次に目覚めた時、私の世界は大きく変わることとなる。このままサルとふたりで平和に暮らせたら、私はそれで良かったのに、、