目が覚めると、そこは美しい森の中だった。

近くに小川が流れているのか、せせらぎが耳に心地いい。視界いっぱいに降り注ぐ木漏れ日が眩しくて手をかざすと、自分の手の小ささに驚いた。

「あーうー」

え?喋れない?自分の体を確認しようとするも、うまく体を動かせないことに気づく。

何が起こっているのだろうか。

とりあえず確実なことは、今の私は赤ちゃんで森の中に転がっている。拘束はされておらず、うまく動かせないだけで、手も足も自由に動かすことができる。

手足の動作確認をしていて自分が全裸なことに気づいたが、どうせ赤ちゃんだし、恥ずかしさは特にない。でも、夜になったら寒そうだ。それに、デリケートな赤ちゃんの肌がこんな森の中で無防備な状態なのも良くない気がする。

そもそもこの子の親はどこにいるのか。いや、この子っていうか、私か?ていうか、なんで私は赤ちゃんなんだ?赤ちゃんだからなのか、さっきから思考が全然まとまらない。

整理しよう。何故私が赤ちゃんなのかを優先して考えるんだ。他のことは考えちゃ駄目だ、混乱する。

一番ありえそうなのは『転生』だろうか。今流行ってるしね。

他に可能性があるとしたら、時間が巻き戻ったとかだろうけど、その場合、全裸で森の中っていうのが説明つかない。

あとはあれだ、真実はいつもひとつで有名な、あの闇の組織的な人達に何かされちゃった可能性。

うーーん、どれも微妙?

あ!わかっちゃったかも!

転生よりもありえるやつ、思いついちゃったよ!ていうか、なんで今まで気づかなかったのか、本当不思議。

これ絶対あれ、夢の中だわ、間違いない。あー良かった、ビックリしたわ。森の中の全裸の赤ちゃんの中身が私とか、本当無理だから。

なんか丁度いい感じに眠くなってきたし、寝て起きたら元に戻ってるっていうお決まりのパターンに期待して、ここは素直に寝てしまおう。