そっと鍵を開けて玄関に入った。誰も起きていないようでホッとした。胸がいっぱいで今は家族と顔を合わせたくなかった。

急いで浴室に行き風呂に入った。鏡に写る自分の裸をなまめかしく感じる。肌がまだ早川さんを覚えている。その感触。その温度。

私は両腕で自分の身体を抱え込み早川さんの名残を愛おしんだ。早川さんの手が、舌が私を喜ばせた事を思いだしまた早川さんが欲しくなった。

ベッドに入っても行為の熱が冷め切らず身体の芯が疼いていた。眠りたくない気がした。いつまでも甘い記憶に浸って酔っていたかった。

別れて1時間くらいしか経っていないのにもう早川さんが恋しくて悶々とした。でもそんな気分もまた甘美で夢心地だった。

そんな風に記憶に酔っているうちにいつのまにか眠りに落ちた。