雀の花

【君と言葉と】
バイトを始めて、数ヶ月。
昌和と綾乃とは仲良くなれた。仲良くなるつもりがなかったはずなのに、少し嬉しい気持ちもある。とても不思議な気持ちだった。
きっと変わった。あの日からは……。

「お疲れー、今日は綾と弥亜はもう上がり?」
「うん!昌くんも?」
「ああ、
そういや弥亜どこ行った?」
「さっきまでいたよね?昌和くん何か用あったの?」
「ちょっとな。
わりぃ。綾先帰ってて。俺もう少し探してみるわ」
「わかった!またね。」
彼女は笑顔で手を振った。

「弥亜。あいつどこいんだよ......。」
「なんか用?」
「うぉ!?びっくりした。脅かせんなよ、てか今までどこ行ってたんだ?」
「ちょっと野暮用。あんたが驚くとか笑える」
彼は頬は少し赤く染まったように見えた。
「聞きたいことあったんだけどさ、これ何?」
そこには、雀のイラストついた非売品のグッズがにあった。
「それは......。」
嘘をつくのは得意なはずだった。
でも、友達の前ではどうにも口が動かなかった。
「黙ってるってことは、お前、雀ってことでいいんだな。
雰囲気は似てないけど、声でなんとなく気づいてた。
お前、キャラ作りすぎだろ。」
彼は大笑いする
「幻滅しないの?」
「幻滅ぅ?そんなんねえよ。ただ人間身があって、親近感が湧いただけだ。
椿ってやつ覚えてるか?それ俺だよ。
なあ、弥亜。なんで雀になったんだ。」
一番聴かれたくない質問だった。バレるのは時間の問題だと思ってたから仕方がないと思った。椿くんはよく配信きてくれて子だっけな。

私、リスナーに頼っていいのかな......。

「椿くんだったんだ。初期の頃からずっと来てくれてたよね。
今まで私は1人が嫌で、崇めて、愛して欲しかった。それに、そばから消えないで欲しかった。
君は私が雀でも受け入れてくれる? 愛してくれる?」

「弥亜が雀でいる限り受け入れる。もう1人にはさせない。みんな、そばに居る。」

「じゃあ、"本当の愛を教えて。"」
私は涙を浮かべながらも、精一杯笑ってみせた。